意外に知らない入れ歯のメリット・デメリット
入れ歯は昔からある装置なので馴染みも深いです。それだけに「歯を失ったら入れ歯を入れる」ことが当然と考えている方も多いかもしれません。ここではそんな入れ歯のメリットだけでなく、デメリットもお伝えした上で、患者さんそれぞれが自分に合った装置を選べるようアドバイスさせていただきます。
失った歯の治療法として入れ歯を検討中の方は、少し立ち止まって考えてみましょう。
入れ歯(義歯)とは
入れ歯とは、失った歯を補う補綴装置(ほてつそうち)の一種です。人工歯と粘膜を接する義歯床(ぎししょう)、部分入れ歯の場合は金属製の留め具であるクラスプが付きます。患者さん自身が着けたり外したりする着脱式の装置で、お口の中の状態に合わせて、十分に設計することが可能です。また、保険が適用されることから、経済的な負担が軽いというメリットもあります。同時に、入れ歯にはたくさんのデメリットも伴うため、さまざまなトラブルに悩まされている方が多いのも現実です。
入れ歯のメリット・デメリットについて
入れ歯のメリット
【メリット1】保険が適用される
入れ歯のメリットとして第一に挙げられるのは、健康保険で治療が受けられる点です。3割負担の場合は、部分入れ歯で5,000~10,000円程度、総入れ歯で10,000~150,000円程度で作れます。失った歯の治療における経済的負担を大きく減らせる点は、患者さんにとって大きなメリットといえます。
【メリット2】外科的な処置が不要
入れ歯では、残った歯を大きく削ったり、顎の骨に穴を開けたりするような外科処置が不要です。残っている歯と粘膜に、上から装置をはめ込む形となるため、心身への負担を最小限に抑えられます。
【メリット3】治療期間が短い
入れ歯治療は、1ヵ月程度で完了します。装置の製作にもそれほど長い期間はかかりません。そのため失った歯を早期に回復できるというメリットを伴います。
【メリット4】装置をケアしやすい
着脱式の装置である入れ歯は、お口から取り外した状態でケアできます。時間と手間はかかるものの、衛生管理を徹底したい方にはこの点が大きなメリットになることでしょう。
【メリット5】適応範囲が広い
入れ歯は、歯を1本だけ失った場合やすべての歯を失った場合まで、ほぼすべての症例に適応することができます。
入れ歯のデメリット
【デメリット1】装置が目立ちやすい
入れ歯は、お口の中にはめ込む装置なので、構造が複雑になりがちです。粘膜を覆うような設計を採ることから、プレート部分である義歯床はどうしても大きくなります。また、クラスプは金属色がむき出しとなっており、全体的に装置が目立ちやすいです。
【デメリット2】違和感・異物感が大きい
お口の中はとても繊細で、砂粒がひとつ入り込んだだけでも違和感が生じるものです。その点、入れ歯はとても大きく、複雑な形をした装置であるため、装着時の違和感や異物感は他の治療法とは比較にならないほど大きいです。
【デメリット3】安定感・使用感が悪い
総入れ歯は、口腔粘膜への吸着によって、部分入れ歯は残った歯にクラスプを引っ掛けることによって固定されます。それゆえ一定以上の圧力がかかると、容易にズレたり、外れたりします。食事や会話の際に入れ歯が外れる症状に悩まされている方は少なくありません。
【デメリット4】歯や粘膜を傷めることがある
入れ歯の設計が悪かったり、口内環境が変化したりすると、義歯症が粘膜に当たって強い痛みを引き起こすことがあります。噛み合わせも変化することで、噛みにくさやしゃべりにくさを感じることも多くなります。
【デメリット5】顎の骨が痩せていく
入れ歯で補えるのは、失った歯の頭の部分である歯冠(しかん)のみです。歯根の部分は欠損したままなので、顎の骨は徐々に痩せていきます。その結果、入れ歯が合わなくなって調整や再治療が必要になるだけでなく、お口の中全体の健康状態も悪くなっていきます。
【デメリット6】装置の寿命が短い
入れ歯は構造上、破損や変形が起こりやすい装置です。また、顎骨の吸収や歯の移動といった口腔内の変化も重なるため、装置自体の寿命は比較的短くなっています。保険の入れ歯は4~5年程度で寿命を迎えるのが一般的です。
入れ歯の悩みはインプラントで解決できます
ここまでは入れ歯のメリットとデメリットについて解説してきましたがいかがだったでしょうか?安くて早く作れる入れ歯は、外科処置も必要ないため、“とりあえず”作るのに適しているかもしれませんが、補綴装置は「人工臓器」の一種ともいえる重要なものです。安易な気持ちで入れ歯を選択すると、歯や粘膜の痛みに悩まされるだけでなく、顎の骨が痩せるという元に戻せないデメリットを被ることがありますので、失った歯の治療法は慎重に検討することをおすすめします。
その際、もうひとつの選択肢として知っておいていただきたいのが「インプラント」です。
インプラントとは?
インプラントとは、顎の骨にチタン製の人工歯根(フィクスチャー)を埋め込んで、人工歯(上部構造)を装着する治療法です。原則としては保険が適用されず、小規模の外科手術を必要とする治療法ですが、現状、失った歯を歯根から回復できるのはインプラントだけです。この特長は、入れ歯治療に伴うほとんどのデメリットを解決するのに寄与します。
歯根を回復できることのメリット
インプラントの構造は、天然歯とほぼ同じです。入れ歯における義歯床やクラスプは付いておらず、欠損部に単独で固定することができます。そのため見た目は至って自然です。残った歯と自然に調和することから、そもそも補綴治療を受けたことさえ気付かれにくいです。
また、人工歯根が強固な固定源となるため、安定性が極めて高く、食事や会話の際にズレたり、外れたりすることもありません。しかも噛んだ時の力が顎の骨に伝わるので、顎骨の吸収もほとんど起こらないのです。当然ですがインプラントの人工歯根や上部構造が残った歯や周りの粘膜を傷めることもないでしょう。
装置の寿命も比較的長く、適切なケアとメンテナンスを継続していれば少なくとも10年以上、長ければ20年、30年と使い続けることも難しくありません。つまり、インプラントなら入れ歯に伴うデメリットのほぼすべてを解消することができるのです。
入れ歯 | インプラント |
---|---|
装置が目立ちやすい | 自然で美しく、装置が目立ちにくい |
違和感・異物感が大きい | 天然歯のようにしっかり噛めて違和感も少ない |
安定感・使用感が悪い | 強固に固定されているためズレたり、外れたりしない |
歯や粘膜を傷めることがある | 周りの歯や組織を傷めない |
顎の骨が痩せていく | 顎の骨に刺激が伝わるため痩せにくい |
装置の寿命が短い(4~5年程度) | 10年以上持つのが一般的 |
まとめ
このように、入れ歯には費用が安くて作りやすいというメリットがありますが、使い始めてからわかるデメリットがたくさんあることも事前に理解しておく必要があります。実際、入れ歯を作ってから「やっぱりインプラントにしたい」と希望される患者さんは少なくありません。そんな失った歯の治療を検討中の方は、入れ歯とインプラントの両方に対応している東陽町のナオデンタルクリニックまでお気軽にご相談ください。患者さんのお話をお聞きし、お口の中を拝見した上で、それぞれにぴったりの治療法をご提案いたします。
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- テストナオデンのインプラントブログ個別記事のタイトル テストナオデンのインプラントブログ個別記事のタイトル - 2021年10月25日