インプラントをしたらMRIは受けられない?金属アレルギーは大丈夫?

昔から「インプラントがあるとMRIは受けられない」という話は、巷で広く伝わっています。SNSなどでも見聞きする噂であり、その真偽がよくわらずインプラントは何となく良くないものと思い込んでいる方もいらっしゃるかもしれません。
確かにMRIというのは、日常的に撮影するものではありませんが、大きな病気やケガをした時には重要な情報を取得できる検査だけに、一生涯、受けられなくなることは避けたいものです。そこで今回は、インプラントによるMRIへの影響やインプラントと金属アレルギーの関係などについて、東陽町駅0分のナオデンタルクリニックがわかりやすく解説をします。
目次
「インプラントがあるとMRIは受けられない」という噂の真相
まずはインプラントとMRIにまつわる噂の真相をお話します。
デンタルインプラントは問題なし(原則)
インプラントが入っているとMRIは受けられないという噂は、「デンタルインプラント」においては間違いです。なぜならデンタルインプラントでは非磁性体であるチタンを材料として使用するからです。
磁気共鳴画像法とも呼ばれるMRIは、その名の通り強力な磁石と電波を使って体内の断面画像を撮影する検査であることから、磁性体でなければ悪影響を及ぼしません。よりわかりやすい言葉で表現すると「磁石にくっつく物質」が検査と患者さんの体に悪い影響をもたらします。その点、デンタルインプラントに使われているチタンは、磁石にくっつかない物質なので、MRI検査にも患者さんの体にもトラブルが起こらないようになっています。
医療用インプラントは要注意
「インプラント」というと、多くの人は顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込むデンタルインプラントをイメージしますが、医科の分野ではより広い意味での「医療用インプラント」が標準となっています。医療用インプラントとは、心臓ペースメーカーや人工内耳、人工関節など、体内に埋め込む人工物やその技術の総称で、この中にはMRIできなくなるものも含まれています。例えば、心臓ペースメーカーや人工内耳には、磁性体が使われていることが多いため、MRIの撮影に悪影響が及ぶだけでなく、患者さんの命に関わるようなトラブルを引き起こしかねません。一方、人工関節に関しては、デンタルインプラントと同じチタンが使われており、MRI検査に影響が出ないことがほとんどです。
インプラントオーバーデンチャーは例外
デンタルインプラントには、「インプラントオーバーデンチャー」という特殊な治療方法があります。顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込むところまでは通常のインプラント治療と同じですが、上部構造が入れ歯(デンチャー)の形をしており、取り外しが可能です。しかも、インプラントオーバーデンチャーの種類によっては、上部構造の固定に磁石を使っている場合も多いことから、MRI検査への影響はきちんと考えなければいけません。
そのためインプラントオーバーデンチャーを装着している方がMRIを予定している場合は、必ず事前に磁石が使われているかどうかを主治医に確認しなければなりません。磁石が使われていないタイプのインプラントオーバーデンチャーなら、MRIへの影響はほとんど考えられませんが、MRI室に入る前には上部構造を外す必要があります。
MRIで問題となる金属とは?
MRIで問題となる金属は、磁石にくっつく性質のある磁性体です。具体的には、鉄やコバルト、ニッケルなどの金属がMRI検査で問題となります。これらはネックレスや時計、指輪などによく使われており、とても身近な金属といえます。こうした金属を使ったアクセサリーを身に付けていると、ミサイル効果や発熱、画像を歪ませるリスクが生じます。
ミサイル効果とは、MRI装置から発生する強力な磁場に金属製品が引き寄せられる現象で、上段で取り上げたインプラントオーバーデンチャーの上部構造にも起こり得ます。また、磁性のある金属は、高周波による発熱で、患者さん自身が火傷するリスクを伴うことから、MRIで問題となりやすいのです。
MRI検査では、体内に金属が存在することで「アーチファクト」と呼ばれる画像の歪みが生じえます。実はこのMRIにおけるアーチファクトは、チタンで作られたデンタルインプラントでも生じるリスクがありますが、診断に支障をきたさない程度であれば問題はありません。
インプラントと金属アレルギーの関係
ここまではインプラントがMRIに及ぼす影響について解説してきましたが、画像検査だけでなく、身体への影響も気になった方が多いかと思います。近年は、歯科治療に金属アレルギーのリスクがあることが広く知られるようになり、金属材料を一切使わないメタルフリー治療を積極的に選択している方も少なくありません。
チタンは生体親和性の高い金属
デンタルインプラントに使われるチタンは、生体親和性が極めて高く、金属アレルギーの原因となることはほとんどありません。体内に埋め込んで放っておくだけで、骨と自然と結合するくらいですから、拒絶反応なども起こりにくいのです。医療用インプラントのひとつである人工関節にもチタンが使われており、その安全性と生体親和性の高さは、古くから保証されています。
ただし、チタンでもごく稀にではありますが金属アレルギーを発症することがあります。こうしたチタンアレルギーをお持ちである場合は、人工歯根やアバットメントの材料として、チタンではなくジルコニアを使うという選択肢が用意されています。ちなみに、ご自身が持つ金属アレルギーの種類については、皮膚科でのパッチテストという簡易的な検査で調べることができます。インプラント治療を検討中で、金属アレルギーのリスクが怖いという方は、事前にパッチテストを受けておきましょう。
まとめ
今回は、「インプラントをしたらMRI検査を受けられなくなる」という噂の真相をお話ししました。強力な磁場を作り出して画像を描出するMRI検査は、磁石にくっつく金属を持ち込むことが禁止されていますが、チタン製のデンタルインプラントならそのままの状態で入室が許可されます。なぜならチタンは磁石にくっつかない金属であり、発熱による火傷のリスクもないからです。
ただし、磁石が使われていて、上部構造が外れるインプラントオーバーデンチャーは、事前に確認すべきことと準備すべきことありますので、その点は主治医の指示を仰ぐようにしてください。そんなインプラントによるMRIへの影響についてもっと詳しく知りたい方は、いつでもお気軽に東陽町駅0分のナオデンタルクリニックまでご相談ください。


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- テストナオデンのインプラントブログ個別記事のタイトル テストナオデンのインプラントブログ個別記事のタイトル - 2021年10月25日