中学生・高校生なのに永久歯が抜けてしまったら

永久歯は、名前からもわかる通り“半永久的”に使うことを前提としています。そのため永久歯が抜けた場合は、新しく生え変わることはありません。そんな永久歯が中学生・高校生という早い段階で抜けた場合はどうするのか?中学生・高校生で抜けた永久歯を放置するとどんなリスクが生じるのか?今回はそうした疑問に東陽町のナオデンタルクリニックがお答えします。中学生や高校生で永久歯が老けた方は、このコラムを参考にしてみてください。
目次
中高生なのに永久歯が抜けるケース
中学生や高校生では、次のようなケースで永久歯が抜けることがあります。
【ケース1】歯の外傷
中学生や高校生で永久歯が抜ける主な原因は、歯の外傷です。とくにコンタクトスポーツや球技の部活に入っている中学生・高校生は、歯の外傷を受けるリスクが高いため、十分な注意が必要といえます。ひと言で歯の外傷と言っても、歯の先端が欠けたり、歯冠部が半分に割れたりする程度であれば、永久歯そのものを失う可能性も低いですが、歯根が折れたり、歯そのものが抜けたりする重症例では、歯の保存が困難となります。
【ケース2】虫歯の重症化
永久歯は、一般的に6~12歳くらいの6年間で生えそろいます。つまり、小学生で生えたばかりの永久歯が中学生や高校生で虫歯になり、その結果として歯が抜けるようなケースはそれほど多くはありませんが、可能性としては十分に考えられます。例えば、中学生になったばかりの時期は、部活が始まったり、新しい環境に適応しなければならなかったりして、口腔ケアが疎かになることも珍しくないからです。それは高校生活が始まった時期にも同じことがいえます。そうした人生の節目や生活環境の大きな変化の時期に虫歯を重症化させてしまい、歯が抜けた、あるいは歯を抜かざるを得なくなる中学生・高校生は一定数存在します。
【ケース3】歯周病の重症化(侵襲性歯周炎)
歯周病は、日本人が歯を失う原因第一位に挙げられますが、中学生や高校生は、そのリスクが比較的低くなっています。おそらく皆さんの周りでも、歯周病を重症化させて歯が抜けたという中学生や高校生は、あまり見かけないことでしょう。ただし、侵襲性歯周炎(しんしゅうせいししゅうえん)という歯周病に関しては、例外的に中学生や高校生でも重症化するリスクを伴うため注意が必要です。
侵襲性歯周炎とは、ひと昔前まで「若年性歯周炎」とも呼ばれていた歯周病で、10~30代でも発症することが多々あります。しかも侵襲性歯周炎は、必ずしもお口の中が不潔な人に発症するわけでもないため、予防や早期発見がしにくいという難点があるのです。さらには、“侵襲性”という言葉からもイメージできるように、進行が早く、通常の歯周病よりも短い期間で重症化することがわかっています。そのため中学生や高校生で重症度の高い歯茎の腫れや出血、歯周組織の破壊などが認められたら、侵襲性歯周炎の可能性が高いことから、早急に歯科を受診する必要があります。
抜けた永久歯を放置するリスク
続いては、中学生や高校生で永久歯が抜けた場合に、何もせずに放置するリスクを解説します。
【リスク1】口元にコンプレックスを抱えることになる
中学生・高校生は、多感な時期です。少しでも周囲と違う特徴を持ってしまうと、それがコンプレックスとなって精神面に多大な悪影響を及ぼします。例えばそれが部活中の外傷で前歯を失った場合は、その状態を放置していると友達やクラスメイトの前で口を開けられなくなります。周囲がそれに気づいたら、歯がないことをいじってくるかもしれません。中学生や高校生という大切な時期に、そのようなコンプレックスを抱えることはマイナスでしかないため、早急に抜けた永久歯の治療を受けるようにしましょう。
【リスク2】食べ物が噛みにくくなる
私たちの歯は、1本でも欠けるとそしゃく能率が大きく低下します。食べ物が噛みにくくなることで、食事の内容や噛み方が偏り、消化や栄養の吸収にもネガティブな影響が生じます。これからも体の成長が期待できる中学生や高校生の時期に偏った食生活を送ったり、十分な栄養を吸収できなかったりすることは、全身の成長・発育にも深刻な悪影響をもたらすのです。
【リスク3】歯並びや噛み合わせが悪くなる
永久歯が抜けた部分を放置していると、周りの歯がそこに向かって移動を始めます。その結果、全体の歯並び・噛み合わせが悪くなっていくのです。
【リスク4】顎の骨が痩せていく
歯がない部分の顎の骨は、退化現象が起こって痩せていきます。それは第二次成長期の真っただ中にある中学生や高校生も例外ではありません。顎の骨が痩せれば、そしゃく機能や発音機能の発育を妨げると同時に、顔立ちが歪んだり、永久歯が抜けた部分の治療法の選択肢が狭まったりします。
中高生こそインプラントがオススメです
このように、中学生・高校生で抜けた永久歯を放置すると、驚くほど多くのリスクが発生するため、早期に治療するのが望ましいといえます。そこで多くの中学生や高校生が悩むのが抜けた永久歯をどうするかという点です。抜けた永久歯を差し歯で治療できれば苦労はしませんが、現実問題としてそれは不可能です。なぜなら差し歯は、少なくとも永久歯の歯根の部分が残っている必要があるからです。では永久歯の歯根まで抜けた場合はどうするのか?答えは、失った歯を補う補綴治療です。
補綴治療の選択肢
抜けた永久歯を補う補綴治療は、ブリッジ・入れ歯・インプラントの3種類があります。まずブリッジは、欠損部の両隣の永久歯を大きく削らなければならないため、中学生や高校生が背負うデメリットとしてはあまりにも大きいと言わざるを得ません。
次に入れ歯はブリッジのように歯を大きく削る必要はありませんが、残った歯に引っ掛けるだけでの着脱式装置であることから、装着感や使用感はもちろん、見た目も良くないという欠点が目立ちます。そもそも中学生や高校生で抜けた永久歯を入れ歯で補いたいという方はいないことでしょう。
第三の選択肢であるインプラントは、抜けた永久歯の骨にチタン製の人工歯根を埋め込む治療法で、従来法に伴うリスクやデメリットのほとんどを解消することができます。ひと言で言うと、抜けた永久歯をほぼ同じ状態まで回復させることができるのです。そのためインプラントは永久歯が抜けた中学生や高校生にこそ選んでもらいたい補綴治療といえますが、歯や顎の骨の発育が途上にある場合は、適応について慎重に検討しなければなりません。全身の健康状態が良く、歯や顎の発育もほぼ終わりに近づいているのであれば、中学生や高校生にとって最善といえる補綴治療がインプラントとなることは珍しくありません。
まとめ
今回は、中学生や高校生で永久歯が抜けた場合にどうするべきかについて、東陽町のナオデンタルクリニックが解説しました。中学生・高校生で抜けた永久歯を放置することは、ある意味で成人以上に大きなリスクやデメリットを伴うため、できるだけ早く歯科治療を受けるのが望ましいです。一定の条件を満たせば中学生や高校生でもインプラント治療を適応できますので、関心のある方はお気軽に当院までご相談ください。


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- テストナオデンのインプラントブログ個別記事のタイトル テストナオデンのインプラントブログ個別記事のタイトル - 2021年10月25日